中込 忠三[なかごめちゅうぞう](1910〜2001)
1 「息にわがする」 1990年秋、奇妙な書名の随筆集、大原富枝「息にわがする」を読んだ。終わり近くに「絵の運命」があった。初出は雑誌「世界」とあった。 文中には阿部知二、手塚一夫、山梨県、中巨摩郡等の固有名詞と共に中込忠三の名が挙げられていた。
手塚は、児島喜久雄によって「画狂」と評された夭折の画家。貧しい手塚を物心両面にわたって支援したのが中込であり、二人の交友は阿部によって小説「幸福」「野の人」に描かれている。しかし手塚の多くはない作品は、戦災等によって殆ど消失してしまったというのが、この随筆のあらましであった。
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