41 農林の殿堂
青葉若葉に包まれた堂々たる殿堂、緑の風が如何にも農林らしい觸感を與へる。この學舍を訪れただけでも、都會病患者はどんなに喜びに包まれるだらう。[# 原本では改行されているため「。」がないので入れた] この他峽中には日野春に農學校、石和に蠶業學校、峽南に農工學校等の實業學校がある。 校舍の背後には南アルプスの殘雪が手にとる樣に見える。 門の前にはず[# 原本では「づ」となっている]つと限りなく續いた一本路が、埃もたてずにはるけき空迄もと見えるのだが、それは想像にまかせる。
(齋藤克已) [# 原本では「克己」となっているが御本人は「克已」を使われていた。目次についても同様]